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食の都と言われる中国は西安。
刀削麺の歴史を辿ってみても、その発祥もやはり西安だとされ、日本にもその味が広く伝わって来ていますよね。

西安の名を冠した刀削麺のお店も多く見られますが、そのどれもが相当な美味しさでもって我々を魅了してきます。

であるならば、本場である西安の刀削麺、それも麻辣刀削麺とはどんな味なのか、とても気になる人も多いと聞きます。

日本で食べる刀削麺がこれだけ美味しいのだから、西安で食べる刀削麺はもっと美味しいに違いない?
あるいは、日本人向けにアレンジを加えられていない、日本人のまだ知らない刀削麺の原点があるのでは?

考え始めたら興味が尽きないですよね。

そんなわけで、今回は意を決して、刀削麺の故郷である中国の西安まで、その味の秘密を探しに旅することにしました。

日本からはけっこうな時間がかかります。

直行便がないため、途中に中国か韓国で乗り継ぎをしなくてはなりません。
飛行時間と乗り継ぎの時間を含めて、最低8時間以上のフライトを要します。

今回は全日空の北京経由のルートを選びましたが、それは出発時間だったり、あるいは到着時間だったりの単なる時間的な都合であって、別に北京でのトランジットが良かったからではありません。

良いどころか、かなり最悪の選択だったかもしれません。

北京首都国際空港。

とにかく、考えられないほどに施設が広くて、さらには空港職員のスキル不足なのか、あらゆる作業に驚くほどの手間がかかるという、日頃からスマートな旅を目指す日本人や欧米人にとっては謎だらけの空港でした。

トランジットでも必要な、中国への入国審査。
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これも北京首都国際空港でのフライト過多が原因らしいのですが、着陸したくても着陸できなくて、大幅に到着の予定時刻を超えてしまったため、次の西安行きのフライトに間に合わない可能性もあり、ちょっと途方に暮れました。

ようやく入国審査を終えると、今度は出発ロビーのある別の建物へ移動することになるのですが、これがまた遠い。

中国語ばかりで英語表記さえおぼつかない、そんな見慣れぬ看板だけを頼りに、とにかく突き進んでいくと、エスカレーターを降りた先にシャトルトレインの発着場がありました。
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シャトルトレインはすぐにやって来ましたが、出発してから到着するまでが長く、たぶん10分くらいは乗っていたような気がします。

やがて出発ロビーのある建物に着いたとき、すでにフライト時刻の30分前でした。

日本の空港だったら、時間的な余裕はないものの、あらゆる知恵を絞り出せば、まったく絶望的なことではないはずなので、今回もそれを期待して、手荷物検査場へと向かいました。

そこで期待が絶望に変わりました。
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手荷物検査場に群がる夥しい数の人々。

すごいですね。
考えられないです。

そして、この混雑の最大の理由は、空港職員らによる、ほとんどやる気の見られない検査方法にありました。

トラベラーの誰として荷物は一回ではX線のマシンを通過できません。
彼らは、まるで後出しジャンケンのように、マシンを通したあとに、これはダメあれはダメと言い出して、その場で荷物から出させると没収し、またマシンに通します。

ひどい場合だとこれを4回ほど繰り返します。

手荷物として禁止されている物品が他の空港とも異なっているのが理由でしょうか。
とりあえず、日本ではOKだったものが北京ではNGな場合が多いようです。

そんなわけで、検査場では常にトラベラーたちの怒号が飛び交っていましたが、気になるのはやはり時間です。

刻一刻とフライト時間は迫ってきています。
そして検査場から出発ゲートの距離はどれくらいなのでしょうか。

2回のやり直しをさせられて、さらには持参したHDDやWifiルーターなどついてもアレコレ聞かれ、以前にその類のものを北京での空港で没収された人の怒りの声を聞いたことがあったので、もしもこれらを没収されたらどうしようかと不安な気持ちになりましたが、何とかクリアしました。

時すでにフライト時刻の5分前。

どうでしょうか。
可能性はありますか。

空港職員からは何も言われませんでしたが、検査場を通過したということは、飛行機が待っていてくれているということでしょうか。
日本の空港だと、そういう事例がしばしあるような話が伝わってきます。

北京首都国際空港。

見渡す限り、どこにも日本語を話せるスタッフはいません。
英語すら理解してもらえない。

今がどんな状況なのか、誰に聞くこともできないので、出発ゲートまで急ぐしか選択肢はありません。
そして、これがまたしても異常な距離。

走ってみても、疲れて小走りになってみても、永遠にたどり着かないのでは思うほどの遠さ。

それでも、明日は来るように、止まない雨はないように、やがて目的の出発ゲートは現れました。
複数人が登場口に集まっています。

まだ乗れるのか、係員に聞きました。

答えはノーでした。

すでに飛行機は出発したと。

人生初の乗り遅れ。

そんなことにならないように、いつでもまずは出発できる準備をして、それからトイレにいったり飲み物を買ったりするのに。

今回も、無駄な動作は何一つしていない、構内の不案内な表示でもなんとか理解して進んできたのに。

途方に暮れるとはこのこと。

さて、これからどうするか。

次の飛行機の予約を押さえるか、いっそのこと電車で西安に向かうか、どう考えてもこの二択にかないように思え、しかし電車で24時間近くかけて移動するのも非現実的に思われ、となると次の飛行機を選ぶしかない。

しかし北京首都国際空港には、見渡す限り日本語を話せるスタッフは誰もいない。

今回は全日空のチケットで来たので、まずは全日空の案内センターに電話してみることにしました。

出発ロビーに設置されている電話が複数台あったので、しかも10分までは無料のようなことが書いてあったのでそれでチャレンジしてみようと。

なぜなら、持参したiPhoneは海外ローミングの設定をしておらず、それでも使用したときの莫大な請求を考えると、せっかく無料の電話があるのだから、まずはそちらで試してみようという理屈です。

結果、繋がらなかったです。

中国の国内以外への通話は専用のカードが必要みたいです。
まったく、使えませんね。

次には、iPhoneで全日空のサイトを開いてみました。
マイレージ会員のページから、空港でのトラブルの場合の連絡先を見つけました。

不思議な番号ですが、そのままiPhoneから通話してみたら、なんと日本語が話せる男性が出てきました。

嬉しかったですね。
これで問題の50%は解決したも同然、という気分になりました。

しかも、聞けば本日は2時間後のフライトだけに偶然1席だけ空きがあるという。
なんという幸運でしょうか。

さっそく予約を入れてもらい、こちらでは再びチケットカウンターに行って発行の手続きをすることに。
いわゆる空港での一番最初の場所。

ところが、これがまた難関でした。

出発ロビーからは職員に頼んで検査場の傍から出してもらい、膨大な数のチケットカウンターの中から目当てのカウンターを探し出すことに、30分以上を費やしました。

あちこちのカウンターをたらい回しにされ、やっと見つけたカウンターでの手続きのために15分並び、そのあとはまたあの狂気の手荷物検査場です。

さっきクリアしたから、とは誰にも言うことができず、再び延々と並ぶも、最終的な検査場手前のパスポートチェックの場所に来てようやく、離陸時間が迫っているから急いだ方が良い、と前にいた5人くらいをショートカットさせてもらい、今回は一発OKで検査をクリアしました。

チケットを手配したときにはまだ2時間あると思ったのに、気付けば25分前。
でも、まさかそんなに早くは締め切らないだろうとは思いつつ、もしもまた締め切られたらシャレにならないという気持ちで足早で、これまた遠くの出発ゲートまで向かうと、そこから飛行機のタラップまで走るバスがもうすぐ出発するところでした。

危なかったですね。
ゆったりとトイレにでも寄っていたらアウトだったかもしれません。

本当に、謎多き空港でしたが、これでようやくお別れすることができました。


というか、なかなか西安にたどり着かないです。。


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北京行きの機内で食べたメンチカツカレー。